香りの散歩道


いつまでも瑞穂の国でありますように 


墨絵・朝野泰昌

熱勤労感謝の日」の今日、皆さんいかがお過ごしですか。

仕事をしながらラジオを聞いてくださっている方、お疲れさまです。
ありがとうございます。

「勤労感謝の日」はもともと、宮中や神社で行われてきた新嘗祭(にいなめさい)が転じたものといわれています。
新嘗祭とは、稲や麦など五穀の収穫を祝い、感謝を込めて神様にお供えする祭典です。

昔は一般の人たちも、その年に穫れた新米は新嘗祭が終わるまでは口にしない・・・という風習があったとか。
けれど、今はもう9月の終わり頃には新米が出回っていますから、皆さんすでに味わっていらっしゃることでしょう。

そのおいしさと豊かな香りに感謝する心は、忘れたくないですね。
 
日本は、みずみずしい稲穂が実る「瑞穂の国(みずほのくに)」といわれてきました。
奈良時代に成立した歴史書『日本書紀』には、「豊葦原千五百秋瑞穂国(とよあしはらの ちいおあきの みずほのくに)」という記述があります。

これは、葦が豊かに生い茂り、長い年月が経っても永遠に、秋になるとみずみずしい稲穂が実る国・・・という意味で、日本のことを表しています。
美しい呼び名ですね。

豊かな実りを讃える和歌や俳句もたくさんあり、明治生まれの俳人・高浜虚子(たかはま・きょし)は「新米の 其(その)一粒の 光かな」と希望にあふれた句を詠みました。
 
この国がいつまでも瑞穂の国でありますように、先人たちの思いを受け継いでいきたいですね。


*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。



*このコーナーは毎週水曜日に日本海新聞で掲載しています



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