香りの散歩道


宮廷のみやび〜近衛家1000年の名宝

墨絵・朝野泰昌


 日本の香り文化は、平安時代の王朝人(おうちょうびと)によって花開きました。

千三百年の歴史を持つ公家の名門、
近衛家(このえけ)に伝わる、格調高い香道具を鑑賞できる展覧会『宮廷のみやび〜近衛家1000年の名宝〜』が、東京国立博物館で開催されています。

 近衛家に受け継がれてきた貴重な美術工芸品や古文書(こもんじょ)など、およそ20万点の資料を保管する蔵、陽明文庫(ようめいぶんこ)の創立70周年を記念したこの展覧会。
京都にある陽明文庫の所蔵品は、例年、春と秋のそれぞれ三か月間、事前に予約をした団体だけが観覧できるそうですが、今年は創立70周年を記念して、東京で一般公開されることになりました。

 お香を楽しむための道具は、所蔵品のほんの一部ですが、王朝人の美意識と繊細な手仕事がうかがえる名品ばかり。
正倉院に納められている香木として有名な蘭奢待(らんじゃたい)をはじめ、見事な蒔絵(まきえ)の香箪笥(こうだんす)。
織り模様が美しい二種類の裂(きれ)を組み合わせた志野袋(しのぶくろ)と呼ばれる香袋は、ひもが花のカタチに結ばれていて、それぞれに違う花を咲かせているのがなんとも華やかです。

 東京国立博物館・平成館で2月24日まで開催されている、『宮廷のみやび〜近衛家1000年の名宝〜』。
日本が誇る優雅な香り文化に、ふれてみませんか。


*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。



*このコーナーは毎週木曜日に日本海新聞で掲載しています



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